THE SUTRA MUSEUM

作品紹介

中字・大楽金剛不空真実三摩耶経 般若波羅蜜多理趣品百字偈併大日如来

  • 中字・大楽金剛不空真実三摩耶経 般若波羅蜜多理趣品百字偈併大日如来
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  • 中字・大楽金剛不空真実三摩耶経 般若波羅蜜多理趣品百字偈併大日如来
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作品解説

天地一二六×左右四五センチ

『理趣経』には十種類の類本があり、漢訳も六種類あります。ここに書いたのは、唐の不空三蔵が訳された『大楽金剛不空真実三摩耶経 般若波羅蜜多理趣品』で、弘法大師によって請来されたものです。初段の末尾に「百字の偈」があり、そこには『理趣経』の中心思想が述べられています。たくさんの経典が存在する中で、男女間の本能のみを追求したものであるかのような誤解を生んでしまいましたが、真言宗の寺院では日常最も多く読まれます。長い間、秘経とされて、目に触れられないようにされていました。それは重要な思想が凝縮されて表現されているため、誤解を招くのを恐れたということがあります。また、中心概念の「大楽」や「清浄」が、人間肯定、性欲肯定という考えに基づくためで、間接的な読み方で伝えられてきたということがあります。経典の内容は、大日如来が金剛薩埵に対して、般若の理趣が正常であることを説きますが、理趣とは真実なるものへの誘いであり、真理の趣を意味するとされています。

ふつう仏教では、欲望は悟りの妨げになるとして、一切排除することをすすめますが、大乗仏教では必ずしも欲望を無くせとは説きません。むしろ欲望をいかに有効に使って悟りの道を得るかということを肯定しています。真実の智慧である般若からみた真実の世界は、欲望も怒りも、さらにはこの世に存在するすべてのもの、みなその本性においては清浄であることを説き明かしています。特に密教においては、不浄な現実の諸相の中にこそ理想の清浄な本質を見ることができるという立場から、欲望を積極的に認めています。その結果、現実の肯定という姿勢が強く打ち出されて、欲望の肯定から男女の愛欲、和合の境地を、即ち菩薩の境地として説くものと誤解されやすいのですが、実際には即身成仏という人間存在の理想の姿勢を表現しているということに注意しなければなりません。

作品では偈を中字で書き、その右側に大日如来を描きました。大日如来は太陽神への崇拝から生まれた仏で、宇宙そのものを仏格化したものです。如来・菩薩・明王・天たちを統一する最高の仏に位置づけます。両界曼荼羅のそれぞれの中心になっているのがこの大日如来です。

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